Z世代のSNS利用率ランキングや特徴、成功事例を紹介

Z世代以外の世代別SNS利用率

まずは、世代別のSNS利用率を整理していきましょう。

総務省のデータによれば、全世代のLINEの利用率が92.5%、次いでYouTube87.9%、Instagramが48.5%の利用率を誇っていることがわかります。

「Z世代」という言葉の定義そのものについては後ほど解説しますが、20代がSNSの種類を問わず最も利用率が高いという事実を把握しておきましょう。

出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/000831290.pdf


そもそもZ世代とは?

次に「Z世代」という言葉の定義を解説していきます。

広義的な解釈では、ベストセラーとなったダグラス・クープランドの著書により、20世紀から生まれた新たな価値観をもった新たな世代であるX世代から派生した言葉であり、明確に「◯年生まれだからZ世代」と切り分けられるわけではありません。

ただし、マーケティング用語として使用する場合は、「1990年代中盤〜2010年生まれの世代を指す」と切り分けてしまって良いでしょう。生まれた頃から便利なIT技術やデジタル製品に囲まれて育った点に、Z世代固有の特徴があると考えられています。

Z世代のSNSに対する向き合い方

次に、Z世代のSNSとの向き合い方を紹介していきます。

他世代よりも各種SNSの使い分けや、チェックする順番に特徴があると考えられています。

用途によって各種SNSを使い分ける

Z世代がもつSNSとの付き合い方の、1つ目の特徴が「用途によって使い分けをする」というものです。たとえば、「InstagramやTikTokはビジュアルによるトレンドの確認、YouTubeはエンタメのためといった使い分けをしている」と考えられています。

また、各世代で高い利用率を誇るTwitterは、文字によるトレンドチェックに使用されています。若者ほどInstagramやTikTokなどの視覚的に楽しめるSNSを使う傾向にありますが、Twitterによるバズが存在していることも、マーケターが知っておきたいZ世代の向き合い方の1つです。

TikTokとInstagramの利用者が多い

他世代と比較した際に、「TikTokとInstagramの利用者が多い」こともZ世代ならではの特徴です。総務省のデータによれば、30代のTikTokとInstagramの利用率はそれぞれ16.0%と55.6%ですが、10代〜20代のZ世代ではTikTokが36%ほど、Instagramが68%ほどとその割合が高くなっていることがわかります。

その他の要因があることも事実ですが、利用者が多ければそれだけ大きな反響を見込めます。文字からビジュアルへ遷移し、「TikTok売れ」という言葉が定着していることもその裏付けといえるでしょう。

各種SNSによって見る順序がある

個人差があることも事実ですが、「Z世代はSNSをチェックする順番を決めている」といわれています。各世代のSNS利用率の高さについては前述の通りですが、Z世代は各種プラットフォーム内での動きを大まかに決めています。

Instagramであれば「初めにストーリーをチェック、その後にプロフィールを確認する。そして、コメント欄をチェックする」といった形で、おおよその動きを決めているのです。こういった動きを想定しておくことで、アプローチをしながらユーザーに嫌われない訴求が可能になります。

Z世代へのSNSマーケティングにおいて認識しておきたいポイント

次にZ世代に対して、SNSマーケティングを実施する際のポイントを紹介していきます。

SNSでの情報収集が慣習になっていることや、コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスに重きを置くなどのポイントがあることを把握しておきましょう。

Z世代はSNSで情報収集するのが当たり前

Z世代を対象とするマーケティングにおいて、1つ目に認識しておきたいポイントがSNSでの「情報収集が当たり前」であることです。新聞やニュースでの情報収集を習慣とする世代もありますが、デジタルネイティブであるZ世代はSNSを活用した情報収集を得意としています。

Twitterによるトレンド確認、Instagramでの著名人からの発信確認といった形で、情報の真偽を確認しているわけです。個人の発信が可能なSNSの特性を理解し、「より一次情報に近い情報を得る」ことに重きをおいている点を認識しておきましょう。

コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスを重要視する

コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスに重きを置くことも、Z世代へSNSマーケティングを実施する際に知っておきたいポイントの1つです。これまでに紹介してきたように、Z世代は生まれたときからITが身近にあり、当たり前にインターネットでの情報収集を行なう世代です。

そして、不景気の中で成長し、将来に対する危機意識が一段と強いこともZ世代の特徴とされています。

そのため確かな情報を獲得しつつ、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを、長期的な視点で確認する慣習が身についています。サブスクやレンタルを上手に活用する能力の高さも、生きてきた時代背景を反映したものといえるでしょう。

体験の価値を求める

若者を対象とするSNSを実施する際は、Z世代が体験の価値を感じやすいことも理解しておきましょう。

先程も触れたように、Z世代は「IT技術やデジタル製品が当たり前にある」年代です。

オンラインでの情報収集やコミュニケーションが当たり前であるため、その分リアルな体験の価値が相対的に高まっていると考えられます。誰かと価値を共感できる体験を盛り込むことで、自社サービスや製品のブランディングに成功しているケースも珍しくはありません。

興味のあるものにはお金を払える

コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視するZ世代ですが、「興味のある分野にはお金を使う」という側面も持ち合わせています。その一例がヲタ活です。コストパフォーマンスの高さとは無関係に見えますが、推しのアイドルにお金を使う若者が多いことも事実です。

コストパフォーマンスや興味にお金を使う傾向から分析すると、お金を使う目的に重きを置く傾向にあることがわかります。Z世代は自分が支払ったお金がどのように使われ、「推しの役に立っている」といった意味づけに着目するようです。

社会課題に対する興味関心がある

インターネットが普及したことで、社会課題に対する興味や関心が強まっていることも、Z世代へのマーケティングを実施する際のポイントといえます。20歳以下を対象とする消費者庁のデータによれば、SDGsやエシカル消費に興味を抱いている人の割合は50%を超え、2人に1人が社会課題に関心をもっていることがわかります。

こういった広い視野を持ち合わせていることも、Z世代ならではの特徴といえます。

出典:消費者庁|令和4年版消費者白書


Z世代へのSNSマーケティングを成功させるコツ

次に、Z世代を対象とするSNSマーケティングを成功させるコツを紹介していきます。

Z世代へのマーケティングを仕掛ける際は、各種プラットフォームの特徴を把握して使い分ける、信憑性のある情報を発信するといった点に留意しましょう。

各種SNSの特徴を把握して使い分ける

Z世代へのSNSマーケティングを成功させる1つ目のコツが、それぞれのプラットフォームを使い分けることです。「なぜそのSNSを利用しているのかを理解すること」と言い換えることもできるでしょう。

SNSという言葉に集約されるものの、Z世代はそれぞれのプラットフォームを以下のような目的で使い分けています。

  • X:トレンドを確認する機能が搭載されているため、その日の流行をチェックするために活用
  • Instagram:リールをチェックする事により、友人とのコミュニケーションや興味のある著名人の動向確認に活用
  • YouTube・TikTok:動画による情報収集。長時間のYouTubeと短時間でチェックできるTikTokを使い分ける

信憑性のある情報を発信する

Z世代はデジタルネイティブであるため、他の世代に比べてインターネットでの情報収集能力に長けています。自分から積極的にインターネット上の情報を取捨選択し、妥当性を判断する能力を持つ人が多いといえるでしょう。

Z世代に限った話ではありませんが、信憑性を提示できる情報であることの重要性は今後も高まっていくと考えられます。リサーチの結果を提示する場合は、「どの機関が提示しているのか?」。アンケート結果を提示する場合は、「どのくらいの母数から得ているのか?」を訴求することが重要です。

共感を重視した広告を検討する

共感を重視した広告を検討することも、Z世代へのSNSマーケティングを成功させるコツの1つです。AIによる加工が一般化した昨今では、共感できる広告がバズる傾向にあります。

メイクアップの広告を例に挙げると、キレイなメイクをする広告よりも、面倒くささや大変さに共感できる広告が注目を集めています。

新製品のプロモーションを目的とすると、「製品の良さを提案しよう」と考えてしまいがちですが、不完全さに共感が集まるケースがあることも把握しておきましょう。

著名人・インフルエンサーの影響力を武器にする

著名人・インフルエンサーの影響力を武器にすることも、Z世代へのSNSマーケティングを成功させるコツの1つです。Z世代は生まれた頃からSNSが存在し、情報収集を得意とするため、オンラインで信憑性を得られることに重きをおいています。

そして、その信憑性を与えられる手段の1つが、著名人・インフルエンサーの影響力を活用することです。

発信したい会社の情報やサービスとインフルエンサーとの相性など、いくつかの注意点があることも事実ですが、フォロワーやファンが多い、インプレッション数が多い」などの指標がZ世代からの支持獲得の要因になります。

実際に経験できるオフラインの場を提供する

Z世代へのSNSマーケティングを成功させる、5つ目のコツが「オフラインでの体験の場を提供する」というものです。先程も紹介したように、インターネットやAIが当たり前に存在するZ世代にとって、オンラインでの情報収集やコミュニケーションはあまり魅力的ではありません。

オンラインが普及し、利便性が増した一方で、オフラインの場の価値が相対的に高まっています。

SNSでアピールしたい商材をフォロー、シェアしてくれたユーザーのみが参加できるオフ会や、ゲストを招待するイベントがより響きやすい世代がZ世代といえるでしょう。

トレンドを意識した発信をする

トレンドに配慮した発信を行なうことも、Z世代へのSNSマーケティングを成功させるコツの1つです。Z世代はコミュニケーションをオンラインで行なうことが自然な世代であるため、トレンドを抑えていないことに強い危機感を覚える世代でもあります。

そのためSNSマーケティングにおいても、「チェックすべきトレンドを抑えた情報である」ことに重きをおきます。

日用品などのトレンドを抑えにくい商材であっても、注目を集めているインフルエンサーを起用するなどの方法を活用することで、流行やトレンドを抑えていることをアピールできるでしょう。

拡散したくなる仕組みを作る

Z世代へのSNSマーケティングを行なう際は、拡散したくなる仕組みであることも重要です。一昔前まではターゲット層に向けた広告が一般的でしたが、Z世代は広告っぽいプロモーションを見抜く能力にも長けています。

そのため、拡散することでなにかを得られるような仕組みを用意することが重要です。「シェアしたユーザーのみを対象とするキャンペーン」や「ハッシュタグの活用」により、ユーザーへ拡散することへの意味付けを提供できるでしょう。


Z世代に対するSNSマーケティングの成功事例

Z世代へのSNSマーケティングを実施する前に、成功事例にも目を通しておきましょう。CHOOSYやcoloria、FUJIFILMといった企業やブランドは、SNSマーケティングを取り入れることで、コロナ禍による逆境に負けない業績を残しています。

CHOOSY

Z世代へのアプローチに成功した、1つ目の事例がCHOOSYによるSNSマーケティングです。CHOOSYは「うるりんリップパック」をはじめとした、リップケアアイテムを中心に、若者からの支持を獲得しているブランドです。

そんなCHOOSYは、色による製品の訴求に成功しています。CHOOSYが提供する代表的なアイテムであるリップパックは、香りの異なる6色の色展開を実施しています。

そして、Z世代に対して「どのカラーが推し?」問いかけることにより、リップアイテムと推し活を融合し、その結果をマーケティングに活用しているわけです。リップアイテムと推し活を融合することで、Z世代への訴求だけでなく、経営そのものを効率化することに成功しています。

coloria

2つ目に紹介するZ世代へのSNSマーケティングに成功した事例が、香りのサブスクサービスを提供するcoloriaです。coloriaは2019年より香水ブランドを立ち上げ、「利用者の約6割が20代」という、Z世代へのマーケティングに成功した企業の代表格です。

coloriaのSNSマーケティングの特徴は、高いコストパフォーマンスを実感できる点にあります。香水と聞くと、既製品を購入するイメージが伴いますが、coloriaの製品は自分でアレンジすることができます。また、AIを活用することで自分だけのフレグランスを見つけられる点も、coloriaならではの特徴です。

FUJIFILM

FUJIFILMが提供する「写ルンです」も、Z世代へのSNSマーケティングに成功した事例の1つです。一般的な新製品や既存製品のマイナーチェンジを訴求するマーケティングとは違い、FUJIFILMは1986年から販売している写ルンですをそのまま訴求しています。

「#写ルンです」といった形で訴求したくなる形式を採用することで、100万件以上のユーザーアクションの取得に成功し、Z世代向けマーケティングの代表格といえるでしょう。

BAGEL & BAGEL

ベーグル専門店を全国展開しているBAGEL & BAGELも、Z世代へのSNSマーケティングに成功した代表例です。BAGEL & BAGELは、株式会社FinTが運営する総フォロワー数70万人を超えるSNSメディア「Sucle(シュクレ)」とのコラボを実施し、20〜30代の若者に向けたプロモーションに成功しています。

InstagramをはじめとしたSNSへの投稿を意識した商品開発を行うことで、リーチ数が150,000を超える大きな反響を獲得しました。

スミガキ マウスリンス

主なターゲット層を40〜50歳とする「スミガキ マウスリンス」も、Z世代に対するSNSマーケティングに成功しています。ミドル層に対し幅広いシェアを獲得しているスミガキ マウスリンスですが、インフルエンサーとしてVTuberを起用し、Z世代へのアプローチを実施。ECモール経由の売上を約400個ほどのアップを実現しています。すでに多くのファンを獲得しているVTuberを起点としているため、スミガキ マウスリンス以外の製品が売上を伸ばしている点も大きな特徴です。

Z世代へのSNSマーケティングに取り組みべき理由

最後にZ世代へのSNSマーケティングに、今取り組んでおくべき理由を紹介していきます。

人口の大部分を占めていることや、多様な価値観をもっていることが、Z世代へのSNSマーケティングに取り組むべき理由です。

人口の大部分を占めている購買層

Z世代へのSNSマーケティングに取り組むべき、1つ目の理由が人口の大部分を占める購買層であることです。日本の人口に対するZ世代の割合は約15%ほどとされていますが、世界の人口に対するZ世代の割合は約32%であり、「3人に1人がZ世代である」ことが現実です。

そして、日本では未だ大きな力をもつとされるシニア層ですが、その次に力をもつと考えられている層がZ世代です。日本国内に限らず、世界的な視点をもつことで、その価値を再認識できるでしょう。

多様な価値観を持っている

多様な価値観を持っていることも、今Z世代へのSNSマーケティングに取り組むべき理由の1つです。本記事においては各プラットフォームの利用率などの遷移を紹介していますが、気候変動といった新たな問題定期を行なう世代も、Z世代であると考えられます。

上記では一購買層と紹介しましたが、SNSでの発信が当たり前になった昨今では、多様な価値観をもつコメンテーターやインフルエンサーの重要度が、さらに高まっていくでしょう。