潜在層と顕在層の違いは?潜在層に有効なマーケティング手法を解説

今回はマーケティングにおける「潜在層」について徹底解説します。

マーケティングの際にターゲットを明確にすることは非常に大切ですが、その分類方法を熟知している人はあまり多くありません。

そこで、この記事ではWeb広告のマーケティングにおける「潜在層」と「顕在層」、「非認知層」の違いや、潜在層に有効なアプローチ手法を詳しく解説します。

最後には潜在層に向けたマーケティングを成功させるコツを計4つ紹介しているので、あわせてチェックしておきましょう。

マーケティングにおける顕在層とは?

マーケティングにおける顕在層とは、自社の商品ジャンルへの興味・関心が高く、その中の商品・サービスを比較して購入を検討している、もしくは知識のある人たちを指します。いわゆる「見込み層」と呼ばれる客層のことです。

顕在層に含まれるユーザーはすでに自分の実現したいことが明確になっているため、欲しい商品のジャンルやブランドをすでに絞っていることが多く、インターネット検索では具体的な商品・ブランド名をキーワードに含めます。また、検索の段階から購入することを前提にしているのも特徴のひとつです。

マーケティングにおける潜在層とは?

その一方で、マーケティングにおける潜在層とは、自社の商品ジャンルに興味はあるけど、商品群やブランドを比較する段階ではない、もしくはそのような知識が十分にないユーザーを指します。

顕在層のユーザーとは違い、自社の商品を含めた具体的な商品名を知らない状態です。そのため、インターネットで検索する際には、顕在層のユーザーよりも漠然としたキーワードを含みます。

例えば、自動車の購入を例に考えてみましょう。

顕在層のユーザーならすでに自動車ブランドや具体的な車種についての知識があるため、「A社の〇〇とB者の〇〇はどっちがいいか」を比較するために、インターネット検索を用います。その際、検索キーワードは「A社 〇〇 メリット」や「A社 B社 〇〇 比較」といったものになるでしょう。

それに対して、潜在層のユーザーは漠然と「車が欲しい」と考えていたり、「車の利便性を知りたい」といったニーズを持っています。そのため、検索段階でブランド名や車種名は表出しません。

むしろ、検索キーワードは「20代 車 購入 メリット」や「2024年 車 おすすめ」といった購入することが前提ではない検索が多くなり、解像度の高い購入促進にピンと来ないことがあります。

マーケティングにおける非認知層とは?

上記の2つに当てはまらないもう1つの分類として、「非認知層」というものが挙げられます。

マーケティングにおける非認知層は自社商品が属するジャンルへの興味・関心や知識がない層を指します。「低関心層」とも呼ばれており、マーケティングのターゲットの中でも、リーチの難易度が高い層だと言えます。

なぜなら、特定ジャンルに興味・関心のないユーザーは、それに関するキーワードでインターネット検索することもないからです。

ただ、このような層の人たちも将来的に潜在層や顕在層のユーザーになる可能性があります。そのため、現状とは違うターゲット層にもリーチしていきたい場合や、さらなる売上アップを狙う際には、意識的にターゲティングしてみるのもおすすめです。

簡単にまとめると、潜在層と顕在層は商品・サービスへの関心度の違いによって分けられ、非認知層はそれ以外の興味のないユーザーを意味します。

次に、潜在層から顕在層に移行するまでの流れについて解説します。

潜在層から顕在層に移行するまでの流れ

ここまで読んで、顕在層のユーザーは潜在層のユーザーよりも自社商品やそのジャンルへの興味が高いことがわかりました。

では、潜在層の人たちはどのように顕在層になるのでしょうか。一般に「潜在層→順顕在層→顕在層」のプロセスで移行すると言われています。

準顕在層とは顕在層と潜在層の間に位置する層で、自社商品が属するジャンルへの興味は潜在層よりあるが、具体的な商品・サービスについての知識はあまりなく、最優先課題としてそのジャンルに向き合っていないユーザーを指すことが多いです。

潜在層から顕在層への移行(準顕在層の状態)には時間がかかると言われており、早くても数日、長い場合には数か月ほどの時間を要します。

接触回数を増やすことで顕在層へ移行するようになるので、準顕在層のユーザーには情報収集する機会をできるだけ多く与えることが重要です。

以上が、潜在層から顕在層に移行するまでの大まかな流れでした。

マーケティングでは潜在層へのアプローチが重要

ここまでターゲットの分類からその移行プロセスまで解説してきましたが、マーケティングでは潜在層へのアプローチが非常に重要になってきます。なぜなら、潜在層のユーザーの方が顕在層よりも人数が多く、他社との競争に勝てる可能性が高いからです

前述した通り、顕在層はすでに該当ジャンルと商品群についての知識をある程度保持しており、他社商品との比較段階にまで進んでいる人々を指します。このような人々はもう人押しで購入を決めてくれることが多いですが、それは競合他社も狙っているターゲットです。

さらに、このようなユーザーの数は限られており、他社との競争は非常に熾烈なものになります。

その一方で潜在層に属するユーザーはかなり多いです。潜在層へのマーケティングでは自社商品を売るのではなく、顕在層ユーザーを作ることが目的となります。

「え、それって売上アップに繋がるの?」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。このプロセスで誕生した顕在層はただの顕在層ではなく、自社商品への接触回数が多い顕在層になっているため、自社商品を売りやすくなっています。

このような理由から、マーケティングの成功には潜在層のユーザーへのアプローチが重要な役割を担っていると考えています。

マーケティングで潜在層と顕在層分けが必要な理由

マーケティングで潜在層へのアプローチが大事なことはお伝えしましたが、中には「そこまで厳密にユーザーを層に分ける必要があるのか」と疑問に思われている方もいるかもしれません。

しかし、マーケティングにおいて客層を正しく分類して、狙いのユーザーにアプローチすることは非常に重要です。

その理由は大きく分けて、以下の2つが挙げられます。

  • 広告のターゲットが明確になる
  • ターゲットに対するアプローチ方法が明確になる

ひとつずつ見ていきましょう。

広告のターゲットが明確になる

インターネットで広告を配信するときにターゲットを明確にしておかないと、費用対効果が悪くなってしまいます。

そのため、ターゲットを定め、広告の目的を明確にすることが大切です。そうすることで、インターネット広告の運用効果が高まります。

Web上での広告運用は、ただ闇雲にサービスの良さを宣伝するだけでモノが売れるほど簡単な話ではありません。それぞれの段階でユーザーに求める行動は変わってくるので、無駄な広告費を使わないようにしましょう。

顕在層

他社よりも自社の商品の優れているポイントを理解してもらう

潜在層

自社商品の存在を認知してもらう

非認知層

自社商品除くするジャンルに興味を持ってもらう

ターゲットに対するアプローチ方法が明確になる

また、潜在層と顕在層をしっかり線引することで、それぞれのターゲットに対するアプローチ方法が明確になります。

Web広告と一口に言ってもその形態は様々。そして、広告配信の目的によっても最適な広告は変わってきます。

例えば、顕在層のユーザーへアプローチする方法を考えてみましょう。彼らはすでに自社商品のジャンルや具体的なサービスについての知識がある程度備わっているため、興味・関心を抱かせるような宣伝は不要です。

むしろ、リスティング広告などで自社商品の優位性を的確に伝える方が効果的でしょう。

しかし、実際にこのような思考プロセスでマーケティングできている会社は多くありません。無駄な広告費を使わないためにも、Web広告の配信で達成したいKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定して、適切なアプローチ方法を選択しましょう。

顕在層に有効なアプローチ・マーケティング手法

それでは、具体的にそれぞれのユーザー層に向けた有効なアプローチを紹介していきます。まずは、顕在層へのアプローチに有効なマーケティング手法です。

  • リターゲティング広告
  • リスティング広告
  • コンテンツマーケティング

ひとつずつ見ていきましょう。

リターゲティング広告

リターゲティング広告は、過去に自社サイトを訪れたことがあるユーザーに、サイトから離脱した後も広告を表示させ続ける手法です。

まさに自社サイトに訪れたことがある人は顕在層に含まれるので、自社商品への接触回数を増やして、購入を決めてもらう手助けを目指します。広告は自動で配信され、主にディスプレイ広告やネイティブ広告などが用いられます。

リスティング広告

リスティング広告は、テキスト型広告のことで、インターネット検索した際に最初に一覧で表示する手法です。「検索連動型広告」とも呼ばれる本手法は、ニーズがすでに明確な顕在層ユーザーがネット検索するタイミングで自然に表示できます。ため、顕在層の検索需要を満たしつつ自社商品を宣伝することが可能です。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、ユーザーに対して価値あるコンテンツ・情報を発信し、自社メディアのファンを作るマーケティング手法です。コンテンツマーケティングの代表例としては、オウンドメディアの運用が挙げられますが、他にも、InstagramやFacebookなどのSNSやメルマガ、LPなどもこれに該当します。

自社商品のジャンルに関する記事をたくさん投稿することで、顕在層のユーザーに価値ある情報(特に自社商品の優位性)を伝えられ、商品の購買を促すことができます。

潜在層に有効なアプローチ・マーケティング手法

次に潜在層へ有効なアプローチ法として、以下の2つのマーケティング手法を紹介します。

  • SNS広告(Facebook・Instagram・X)
  • ディスプレイ広告

SNS広告(Facebook・Instagram・X)

SNS広告はその名の通り、FacebookやInstagram、X(Twitter)などのSNSに出稿する広告です。SNS広告を利用するメリットは、細かいターゲティングが可能な点。潜在層は顕在層よりもターゲティングが幅広くなる傾向にあるため、その中で細かく分類していく必要があります。

そんなときにSNS広告を使うことで、潜在層の中でも複数のタイプのユーザーに最適な広告を表示できます。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリなどの中にある予め設定された広告枠に表示する広告です。

SNS広告ほど細かくターゲティングすることはできませんが、出稿する広告と関連性の高いWebサイトに配信できるため、自社の商品を知らないが気に入る可能性の高いユーザー(潜在層)に広くリーチできます。

潜在層に向けたマーケティングの成功のコツ

最後に、潜在層に向けたマーケティングを成功させるコツを解説します。ここまでターゲットユーザーの分類から各層に有効なアプローチ法を紹介してきましたが、やはり最も重要視すべきターゲットは潜在層です。

  • 潜在層が誰かを具体的に定義する
  • 潜在層が関心を向ける広告・LPを制作する
  • 潜在的なニーズに気づかせる
  • 継続的にアプローチする

上記の4つのコツを意識すれば、潜在層に向けたマーケティングの成功確率が上がるので、ぜひ最後までご覧ください。

潜在層が誰かを具体的に定義する

まずは、「潜在層がどんな人か」といったペルソナを具体的に定義しましょう。潜在層に含まれる人々は多く存在しますが、一人ひとり持っている属性は少しずつ異なります。かと言って、たった一人にしか刺さらない広告を配信しても意味がありません。

狙いたいユーザーのタイプを具体的に定義することで、効率的に潜在層を自社サービスに関心ある顕在層へ移行させることができます。

潜在層が関心を向ける広告・LPを制作する

また、ターゲティングを正しく行った後は潜在層が関心を向ける広告やLPを制作するよう心がけてください。潜在層向けの広告を作る際には「興味・関心を抱かせる」「自社商品について理解させる」の2点を目的として押さえておけば大丈夫です。

潜在的なニーズに気づかせる

また、潜在層のユーザーが広告に触れた際、彼らに潜在的なニーズを気づかせることが大切です。潜在層ユーザーはまだ商品の購買を考えるといった段階ではありません。そのため、広告配信のタイミングで「購入後に得られるベネフィット」や「自社商品を利用した場合の未来の姿」を提示することで、顕在層のユーザーに移行させられます。

継続的にアプローチする

最後、4つ目のコツとしては継続的にアプローチすることです。潜在層のユーザーを顕在層に育てることでマーケティングが効果的に行えると説明してきましたが、実際にそれを実現することは簡単ではありません。また、潜在層へのアプローチには時間がかかります。そのため、中長期の計画を立て、即効性のある成果を求めないことが大切です。