動画コンテンツマーケティングとは?注目されている理由や成功事例を紹介

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングは、「積極的な売り込みをしない」手法の一つです。プロモーションとは違い、興味や関心のないユーザーに対するアプローチを行わない点に特徴があります。電話やメールといった積極的なアプローチを行わず、ユーザーがアクションを起こすまで情報やノウハウを提供し続けることからインバウンドマーケティングとも呼ばれています。

もはや主流となりつつあるWebページの作成も、コンテンツマーケティングのひとつです。商品やサービスに関する情報やその領域の知識を提供しつづけ、ユーザーが必要性を感じたときに手を差し伸べるため、関係を構築しやすいマーケティング手法と考えられています。

動画コンテンツマーケティングが注目されている理由

では次に、動画コンテンツマーケティングに注目が集まる理由を紹介していきます。作成する企業と視聴するユーザーの双方にメリットがあることが、動画コンテンツマーケティングが流行している最大の理由です。

効率的に情報を伝えられる

動画コンテンツマーケティングに注目が集まる、1つ目の理由が効率的に情報を伝えられることです。アメリカの調査会社であるForrester Researchによれば、「1分間の動画で180万語、Webページ約3,600ページの情報を伝えられる」とされています。

情報過多といわれる昨今において、情報取得に時間をかけられるユーザーはそう多くありません。その点時間をかけずに情報を獲得できる動画コンテンツは、ユーザーにとってもタイパの良い手法といえるでしょう。

情報が観た人の記憶に残りやすい

情報が見た人の記憶に残りやすいことも、動画コンテンツマーケティングに注目が集まる理由のひとつです。好感を与える動画であればその印象が残り、ストーリー性のある動画であれば長期記憶に働きかけられます。

文字のみのコンテンツと比較してみると、その感情の動きに大きな違いがあるといえるでしょう。文字よりも感動を与えやすく、共感を覚えてもらうことで、その記憶はより長期的なものになります。

完成した動画を使用できる媒体が多い

作成した動画をさまざま媒体で使用できることも、動画コンテンツマーケティングならではの特徴です。適切なデータ形式に置き換えることさえできれば、次のような媒体に使用できます。

  • 公式サイト:自社サイトやプロモーション用のWebページ。プログラムに差し込むことで、訪問者へ自動的に動画を見せられる
  • ソーシャルメディア:YouTubeやInstagramなど、コミュニケーションをメインとしたツール。動画を投稿することで、すでに構築されているネットワークを使用できる
  • TVCM:TVを使ったプロモーション手法。「すでに衰退した」といわれることもあるが、一定の年齢層には根強いユーザーがいることも事実
  • デジタルサイネージ:アパレルショップやアーケード、タクシーなどの空きスペースにモニターを設置するプロモーション方法。街中に配置されおり、ユーザーが無意識な状態のユーザーの目を止めることができる

低単価で制作できる

クオリティなどの条件にもよりますが、低単価で依頼できる点も動画コンテンツマーケティングの特徴です。落札型で枠が少なかったTVCMとは違い、自社のWebやSNSアカウントであれば制作費のみで動画を作成できます。

また、伴走型の専門業者への依頼によって、コストパフォーマンスをコントロールすることも可能です。専門業者に依頼することで、「資料請求数を伸ばす」ことにフォーカスした場合でも「資料請求が増加した要因はなにか?」を分析、その後のアクションをサポートしてくれます。

動画市場が急速に伸びている

企業側だけでなくユーザーの動向が動画コンテンツに移行している点も、注目度を高めている要因の1つです。言わずもがなではありますが、ここ数年でYouTubeの認知度は爆発的に高まっています。

TesTee Labが行った調査では、10代男性が94.1%、10代女性が95.6%、20代男性が86.4%、20代女性が89.8%と、9割前後の方がYouTubeを視聴しているとされています。

また、YouTubeと同様に、TwitterやInstagramをはじめとしたSNSを利用したマーケティングも一般化しています。手軽なデバイスでより多くの情報を伝えられるという理由から、動画市場も飛躍的に伸びているわけです。

拡散力に優れている

拡散力に優れている点も、動画コンテンツマーケティングの特徴のひとつ。拡散力とは視聴者回数やいいね!、リポストなどのアクションにより、オートマチックに広がる能力を指します。

使用するプラットフォームへの深い理解が求められる側面があるものの、拡散されるほどコストパフォーマンスを高まる点は動画コンテンツマーケティングならではといえるでしょう。

コンテンツマーケティングの動画の種類

ここからは、いくつかあるコンテンツマーケティングの動画の種類を紹介していきます。

分類の仕方によってさらに多くの種類にわけられることもありますが、ここでは「企業・サービスのブランディング動画」、「使用方法動画(How to)」、「サービス・商品説明動画」、「インフルエンサー使用動画」、「インタビュー動画」の5種類を紹介します。

企業・サービスのブランディング動画

コンテンツマーケティングにおける1つ目の動画の種類が、企業・サービスのブランディング動画です。昨今では商品やサービスの認知度を高めるために、動画コンテンツを用意する企業が増えています。

企業が動画コンテンツを作成する理由は、伝えられる情報が多いためです。商品やサービスの特徴だけでなく、マインドを伝えることで企業そのものを好きになる可能性を高められることも動画コンテンツが用いられる理由の1つです。

使用方法動画(How to)

使用方法を伝えるためのハウツー動画も、コンテンツマーケティングに用いられる手法の1つです。ユーザー向けに使用方法を紹介する動画が用いられる理由は、実生活に基づく形で商品やサービスの使い方を伝えられることです。

また使用方法を紹介する動画をユーザー向けではなく、社内向けに作成する企業も増えています。使用などの若干の変更があったとしても、大まかな使い方や考え方に変化がなければ、何回でも活用できることが使用方法を伝えるためのハウツー動画を用いる大きなメリットです。

サービス・商品説明動画

コンテンツマーケティングにおける3つ目の動画の種類が、サービスや商品説明動画です。使用方法動画と同じ意味合いで捉えられることもありますが、サービスや商品の説明動画は企業を対象にしている点に特徴があります。

YouTubeなどのプラットフォームにアップするのではなく、展示会や営業資料に用いることでより効率的なプレゼンテーションが可能になります。

インフルエンサー使用動画

インフルエンサーを動画に使用し、そのファンに向けたコンテンツの種類です。インフルエンサーを動画に使用するメリットは、数値を明確にしたフィードバックを行えることです。フォロワーの数と視聴回数をもとに、「どのくらいの割合が視聴したか」を明確にできます。

ただし、訴求したい商品やサービスとインフルエンサーの親和性がないことで、ユーザーに違和感を感じさせてしまうデメリットがあることも把握しておきましょう。

インタビュー動画

顧客や従業員の声を反映したインタビュー動画も、動画コンテンツマーケティングに用いられる種類の1つです。テキストのみの情報とは違い、実際に使用したユーザーや実際に体験した従業員の感情を伝えられることが、インタビュー動画の最大の特徴です。

また、ユーザーが共感することで、背中を押せることもインタビュー動画の効果の1つです。「◯◯という思い込みがあったが、このサービスは違った」といったメッセージを伝えることで、同じような境遇に置かれているユーザーにアクションを起こすきっかけを提供できます。

コンテンツマーケティングの動画を制作するポイント

では、次に動画を作成する際のポイントを紹介していきます。多くのユーザーに情報を提供できる動画コンテンツですが、その良さを引き出すにはいくつかのコツが存在します。

届ける相手を明確にする

動画コンテンツを作成する際は、届ける相手を明確にすることから始めましょう。「届ける相手を明確にする」とは、性別や年齢、職業などの属性を決めることを意味します。手紙と同じようなイメージで、受け取る側の像をできるだけ具体化することで、よりメッセージ性の高い動画の作成が可能になります。

サービスの利用に繋がるストーリーを作る

また、サービスの利用につながるストーリーを考えておくことも、動画コンテンツ作成の際のポイントの1つです。プロモーションを意識すると、成果に直結する動画を作ろうとしてしまいがちですが、構成するストーリーによって動画の内容も変化します。

同じ商品の価値を訴求する動画であっても、ストーリーによって伝えられる情報が異なるわけです。その商品を扱う企業の思いにフォーカスした場合はファンの拡大。商品の使い方にフォーカスすれば商品カテゴリー内での差別化を行えます。

配信する媒体を想定して作る

動画作成前に、配信する媒体についても想定しておきましょう。動画コンテンツは、プラットフォームの特性やニーズを理解したうえで、適切に作成することで、視聴者により的確なメッセージを伝えることが可能です。

たとえば、InstagramやTikTokは短尺のコンテンツが求められるのに対し、YouTubeでは少し長めのコンテンツが受け入れられやすいという特性があります。プラットフォーム利用者の年齢層や好まれる動画を理解し、発信するコンテンツを決めるとよいでしょう。

専門業者に依頼する

コンテンツマーケティング用の動画を作成する際は、専門業者に依頼することも大切です。「動画の質にこだわるべき」と考えられていた時期もありますが、昨今は「いかに拡散されるか」に重きが置かれています。そのため、マーケティングに関する専門業者に依頼することをおすすめします。

また、時代ごとに変わるマーケティング手法に対応できることも専門業者に依頼すべき理由のひとつです。ホームページに掲載されている実績や問い合わせ後の対応、プレゼンテーションの説得力などをチェックしさえすれば、業者選びに失敗する可能性を大きく減らせるでしょう。

予算を検討しておく

予算を検討しておくことも、動画コンテンツを充実させる際の重要なポイントです。もちろん経営に関する施策であるため、利益を上げることを優先すべきでしょう。ただし、動画コンテンツの作成にかかる費用は、以下のような金額幅があることも事実です。

  • 企画費:プロジェクトの立案から管理に必要な費用。ディレクターやプロデューサーに依頼することで、数万円〜50万円ほどの出費となる
  • 人件費:動画に出演するキャストや制作陣に支払われる費用。出演を依頼する人数にもよるが数万円〜300万円ほどが一般的とされる
  • コンサルティング費用:プロジェクトの管理とは異なり、企業が抱える問題解決に関する費用。50万〜数百万円が一般的とされる

  • このように一口に予算といっても、「どの業務を委託するか」、「どのくらいの人数が関与するか」によって費用に大きな幅が発生します。そのため、経営の観点から予算を決めてしまい、そこを軸に企画を進めることをおすすめします。

    コンテンツマーケティングで動画を制作する際の注意点

    動画コンテンツマーケティングに限ったお話ではありませんが、メリットがある反面で注意点があることも事実です。動画制作を検討している方は、注意点を意識しながら企画を進めていきましょう。

    テーマを1つに絞る

    コンテンツマーケティングで動画制作をする際の1目の注意点が、テーマを1つに絞ることです。こちらも予算と同様に、経営の観点から1つに絞り込んでいくことが大切です。情報を伝えられるといったメリットがある動画コンテンツマーケティングですが、動画の再生数を意識するあまり本来の目的が達成されないケースも珍しくありません。

    経営の観点から「カテゴリ内での差別化」や「企業ファンの拡大」、「取り扱い企業へのアプローチ」など、ブレないテーマを決めておくことが大切です。

    制作本数を決めておく

    制作する動画の本数を決めておくことも、コンテンツマーケティングにおける注意点の1つです。冒頭に紹介したように、動画コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングの一種であるため、それなりの制作本数が求められます。

    ただし、いたずらに多ければいいというわけではありません。そのため、予め「どのくらいの頻度で、どのくらいの発信をするか」を決めておきましょう。

    明確なテーマを決めておくことで、その目的を最小限の努力で達するための本数を浮き彫りにできるはずです。

    バズを意識し過ぎない

    「ユーザーへの訴求」をテーマに据える企業が増えたことで、バズの重要さにも注目が集まっています。

    ただし、バズは最終的な目的地ではありません。あくまでも「動画を視聴したユーザーが、どのようなアクションを起こしたか」が重要です。

    というのも、動画への反響がマイナスに作用するケースが存在しているためです。ターゲット層以外でのバズによって、「モラルがない」、「一時的に注目された」といったレッテルを貼られることもあるのです。

    動画コンテンツ マーケティング事例

    最後に、動画コンテンツマーケティングを上手に活用した事例を5つ紹介していきます。事例を把握しておくことで、「どのような特徴があるか」を分析する材料にできるでしょう。

    MUJI 無印良品

    MUJI 無印良品の動画コンテンツが、1つ目のマーケティング事例です。MUJI 無印良品の動画コンテンツに注目が集まる理由は、顧客をも捲き組んだマーケティングを実施してるためです。一般的に企業の企画部やマーケティング部が作成される動画コンテンツですが、MUJI 無印良品の動画には製品を使用しているユーザーも数多く登場。

    「シェルフなどの大型アイテムを、実生活でどのように使用しているか」、「家電をどのように使用しているか」をユーザーを含めた形で発信することで、独自性のあるコンテンツマーケティングを実現しています。

    キッコーマン株式会社

    調味料を扱うキッコーマン株式会社も、動画コンテンツマーケティングを上手に活用した企業の1つです。結果的に大きな実績をあげた動画コンテンツですが、「ユーザーファーストな姿勢」に多くの支持が集まっています。

    キッコーマン株式会社は、調味料を使用したレシピ動画を公開しつつ、初心者向けの動画も作成しています。また、ご飯や汁物、おかずといったカテゴライズを実施することで、サイトそのものが見やすく、商品そのものを売り込まないマーケティングに成功しているのです。

    イヴイヴ

    キッコーマン株式会社といった企業と同様に、売り込まずに市場拡大に成功しているサービスがMarketDrive社が運営するイヴイヴです。マッチングアプリ市場に後発的に参入したイヴイヴですが、公開されているYouTube動画は累計1億再生を超え、10万人の登録者数を獲得しています。

    恋愛をサポートする動画コンテンツそのものが魅力的あり、その動画を手掛けるMarketDrive社がイブイブを運営しているという構図に多くのファンが賛同しているようです。

    タマホーム

    強いメッセージ性を動画に込めることで、不動産業界での市場拡大に成功している企業がタマホームです。数ある動画のなかでも、より多く再生されてるYouTube動画が「ふたりめ会議」です。動画の中では、二人目の子供を作るかどうかを話す家族の日常が描かれています。

    これまでのマーケティングであれば、「会社の魅力が伝わらないのでは」という意見が出そうですが、タマホームは直接的に訴求することなく、認知度を高めることに成功しています。

    クックパッド

    動画コンテンツマーケティングに成功した最後の企業が、クックパッド株式会社です。クックパッドと言えば、投稿型のレシピサイトの公開を思い起こす方も多いでしょう。ただし、動画コンテンツマーケティングにおいては、ターゲット層を「料理をしない単身者」に設定。そのターゲット層に料理の楽しさを

    訴求することで、市場拡大に成功しています。

    一見すると、「普段料理をしない人にはクックパッドはいらない」結論付けてしまいそうですが、潜在的なニーズがあったことを証明する動画コンテンツとなりました。